では滅ばない本はあるのか。そもそも「本」とは何なのか。それを考えるには、まず書物のイメージを捨てなければならない。つきつめると人間が作ってきた書物はすべてが「本についての本」だったと気づくからです。たとえば古典とみなされるアリストテレスの『自然学』ですら〈自然〉にすでに書かれていることをどう読みとるか、それを読みとり、議論する技術を伝授する講義録だった。そんな風に考えると古典も含めて、すべての本は先行する本を読むメチエを伝える本だったことになってしまう。言い換えれば、アリストテレスの『自然学』がそうだったように、それが読み解く対象、究極の「本」はすでに〈自然〉として書かれ、与えられていたとも言える。そして僕はこうした〈自然〉としての本の原点は、やはり天体だったと思います。人間は天体の運動の幾何学性を読み解くことで、身の廻りの事象を支配する法則を発見し読み解いてきた。文学でも音楽でも政治でも気象でも身の廻りに起こる出来事すべてが構造として天体の幾何学性に対応していたのを発見してきた。天体の時間は人間の歴史と比較できないほど長大です。その幾何学性は人間の歴史のスケールくらいでは変わらない。これほど安定した媒体はない。ですから古代以来の記憶術がそうだったように、天体にマッピングさせる読み方さえ変化させれば、いかなる情報でもすでに天体に書かれている(た)と発見できる。書かなくても本はすでにある。読み方だけ変えればよい。こうした自然と人間的事象との構造的対応こそ文化です。その対応が人間にとっての環境=二次的な自然です。
岡崎乾二郎:生きられた(自然としての)「本」(池澤夏樹編『本は、これから』所収)
(via obe)
ショウジョウバエを50年以上、約1400世代にわたって真っ暗な中で飼い続けると、姿や生殖行動などに変化が起きることが、京都大の研究でわかった。
生物の進化の謎を実験によって解き明かす初の成果として注目を集めそうだ。横浜市で開かれる日本分子生物学会で9日発表する。
1954年、理学部動物学教室の森主一(しゅいち)教授(2007年2月死去)が、暗室でハエの飼育を開始。以来、歴代の教員や学生らが、遺伝学の実験用に代々育ててきた。
暗室のハエは、においを感じる全身の感覚毛が約10%伸びて、嗅覚(きゅうかく)が発達。互いをフェロモンの違いで察知して繁殖し、通常のハエとは一緒に飼ってもほとんど交尾しなくなっていた。
全遺伝情報を解読した結果、嗅覚やフェロモンに関する遺伝子など、約40万か所でDNA配列の変異が見つかった。視覚にかかわる遺伝子の一部も変異していたが、光には敏感に反応するので視覚はあるらしい。ショウジョウバエの寿命は約50日。1400世代は、人間なら3万~4万年に相当するという。
阿形清和・京大教授は「通常とは異なる環境で世代を重ねることで、まず嗅覚などの感覚器官に差が生まれ、それが生殖行動に影響し、やがて種の分化につながっていくと推測できる」と話している。
暗闇50年、ハエ「進化」…1400世代飼育 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) (via blueskies-jp) (via saitamanodoruji) (via omasayan) (via vmconverter) (via yoosee) (via aso)
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